■\(Birkhoff\)の定理
\(Schwarzschild\)解を求めている過程で、面白い定理を発見した。
\(Schwarzschild\)解は、重力方程式に3つの仮定、静的・球対称・真空、という条件を与えていたが、どうやら、球対称・真空という条件を与えさえすれば、静的でなくても解は\(Schwarzschild\)解のみになるという定理があるらしい。
しかも、発見者はバーコフではなくイェブセン(\(Jebsen\))だというオマケ付きだ。
▼\(Birkhoff\)の定理
真空場の重力方程式の球対称解は、シュワルツシルト解に限られる。
■定理から分かること
球対称でありさえすれば、シュワルツシルトの外部解が得られる、ということは、静的でなくても良い、つまり動的、運動していてもシュワルツシルトの解は守られるわけだ。
そりゃあそうなってくれなければ都合が悪い。なんて言ったって、ほとんどの天体は自転しているのだから。
と、思ったが、自転すると遠心力が働いてしまい、球対称ではない。そうか、軸対称と勘違いをしていた。自転する天体はやはりまだ扱えないのか。
そうすると、どんな状態まで許容範囲なんだろうか。
球対称が守られるということは、動径方向への運動が許される、ということである。つまり、重力崩壊する天体や、突然に膨張する天体、爆発して四散する天体の、表面より外部の真空の部分は、シュワルツシルト解で表現ができるということである。
そうか、重力収縮していても、きれいに中心方向に崩壊していく天体からは重力波は放出されないということだ。これは後々何かで役に立つかもしれない。
バーコフの定理を証明しようと思ったら、シュワルツシルト解の導出をそのままたどっていって、時間微分で消滅させることができた項を残していきながら最後まで式変形する。
すると、結果は同じくシュワルツシルト解に行きつく、という流れである。原理は単純なので、シュワルツシルト解を出した今となっては簡単そうであるが、式変形が長いのには変わりない。
時間があるときに追いかけてみようと思う。