(編集中:自分のメモの転記のため英文まじりのままです)
■真空・球対称・帯電条件における重力方程式
さて、今考えている条件における重力方程式の右辺のうち生き残っているものを再び書き出してみる。
\(T_{00}=\displaystyle\frac{1}{2\mu_0} E_r^2e^{-\lambda}\)
\(T_{11}=-\displaystyle\frac{1}{2\mu_0} E_r^2e^{-\nu}\)
\(T_{22}=\displaystyle\frac{r^2}{2\mu_0} E_r^2 e^{-(\nu +\lambda)}\)
\(T_{33}=T_{22}sin^2\theta\)
ここで、\(T_{00}\)と\(T_{11}\)には似たような式の形が見られるので、式変形してみると、
\(\displaystyle\frac{T_{00}}{e^{-\lambda}}+\frac{T_{11}}{e^{-\nu}}=0\)
という関係性を得ることができる。
さらに\(R_{\mu\nu}\)\(=\)\(8\pi T_{\mu\nu}\)の関係性を使うと、
\(0=\displaystyle\frac{R_{00}}{e^{-\lambda}}+\frac{R_{11}}{e^{-\nu}}\)
とすることもできる。これは何かに使えそうだ。
いま、
\(R_{\mu\nu}\)\(=\)\(8\pi T_{\mu\nu}\)
のうちの左辺は前ページまでの時点で、
\(R_{00}=\displaystyle\frac{1}{4}e^{\nu-\lambda}\left[ (\nu')^2-\lambda' \nu' +2\nu''+\frac{4}{r}\nu' \right] \) \(-\displaystyle\frac{1}{4} \left[ (\dot{\lambda})^2-\dot{\nu}\dot{\lambda}+2\ddot{\lambda} \right] \)
\(R_{11}=-\displaystyle\frac{1}{4}\left[ (\nu')^2-\lambda' \nu' +2\nu''-\frac{4}{r}\lambda' \right] \) \(+\displaystyle\frac{1}{4}e^{\lambda-\nu} \left[ 2(\dot{\lambda})^2-\dot{\nu}\dot{\lambda}+2\ddot{\lambda} \right] \)
と求まっているから、何かに使えそうだ、といった式に直接的に代入すると、
\(0=\displaystyle\frac{1}{4}e^{\nu}\left[ (\nu')^2-\lambda' \nu' +2\nu''+\frac{4}{r}\nu' \right] \) \(-\displaystyle\frac{1}{4}e^{\lambda} \left[ (\dot{\lambda})^2-\dot{\nu}\dot{\lambda}+2\ddot{\lambda} \right] \)
\(-\displaystyle\frac{1}{4}e^{\nu}\left[ (\nu')^2-\lambda' \nu' +2\nu''-\frac{4}{r}\lambda' \right] \) \(+\displaystyle\frac{1}{4}e^{\lambda} \left[ 2(\dot{\lambda})^2-\dot{\nu}\dot{\lambda}+2\ddot{\lambda} \right] \)
\(0=\displaystyle\frac{1}{4}e^{\nu}\left( \frac{4}{r}\nu' + \frac{4}{r}\lambda' \right) + \frac{1}{4}e^{\lambda} \left( 2(\dot{\lambda})^2-\dot{\lambda}^2\right) \)
\(0=e^{\nu}\displaystyle\frac{4}{r}(\nu'+\lambda')+e^{\lambda}\dot{\lambda}^2\)
と、ここまで式変形を進めることができる。
ここで、一つだけ浮いた式を持ってくる。これはバーコフの定理を証明したときにも使い倒したが、真空・静的・球対称の重力方程式では、真空・球対称であることさえ条件に入っていれば、静的であろうと、動的であろうと計算ができてしまう、という話であった。(それがバーコフの定理)
それは、重力方程式を式変形してくる最中に登場する、
\(R_{01}=\displaystyle\frac{\dot{\lambda}}{r}=0\) ⇔ \(\dot{\lambda}=0\)
の関係性によるもので、時間微分が\(0\)、つまり天体が真空で球対称でさえあれば、たとえば収縮したり、膨張したりしても、その天体の周囲の重力のようすには影響がないということを示している。もちろん天体の外部での話ではあるけれど。
さて、これによって式変形は進み、
\(0=\displaystyle\frac{4}{re^{-\nu}}(\nu'+\lambda')\)
\(0=\displaystyle\frac{1}{re^{-\nu}}(\nu'+\lambda')\)
ここで、
\(\displaystyle\frac{(e^{\nu})'}{e^{\nu}}+\frac{(e^{\lambda})'}{e^{\lambda}}=\frac{\nu'e^{\nu}}{e^{\nu}}+\frac{\lambda'e^{\lambda}}{e^{\lambda}}\)
\(=\nu'+\lambda'\)
であるから、
\(0=\displaystyle\frac{1}{re^{-\nu}}\left[ \frac{(e^{\nu})'}{e^{\nu}}+\frac{(e^{\lambda})'}{e^{\lambda}} \right]\)
\(0=\displaystyle\frac{1}{re^{-\nu}}\left[ \partial_r (\ln e^{\nu}) + \partial_r (\ln e^{\lambda}) \right]\)
\(0=\displaystyle\frac{1}{re^{-\nu}} \partial_r \ln(e^{\nu+\lambda})\)
とできる。この式において、左辺が\(0\)であるから、項 \(e^{\lambda+\nu}\) は\(r\)に依存していないことがわかる。
なので、\(t\)にのみ依存する関数として、
\(e^{\lambda+\nu}=f(t)\)
と書いてしまおう。
それゆえ、
\(-g_{00}g_{11}=f\)
となる。ここでの\(f\)は、もちろん時間依存性しかない\(f(t)\)のことである。
元の計量\(ds^2=g_{00}d(ct)^2+g_{11}dr^2+…\)を、計算処理をラクにするために今、\(ds^2=-e^{\nu}d(ct)^2+e^{\lambda}dr^2+…\)
としていることを忘れないでいてほしい。 今、この係数の部分を頑張って求めている過程だというのが全体の流れだ。
よって、「導出4」の冒頭に登場した式の形は、
\(F_{01}=g_{00}g_{11}F^{01}\)
\(=-fF^{01}\)
と書き直すことができる。