■常微分
微分には、独立変数の数によって、常微分と偏微分という\(2\)種類の微分がある。
常微分:独立変数が\(1\)変数の場合の微分
偏微分:独立変数が\(2\)変数以上の場合の微分
常微分というのは、いわゆる「ふつうの」微分のことで、たとえば、
\(y=2x^2+3\)
という関数があったとして、これを微分したときに、
\(y'=4x\)
となる。
こういう微分操作は、「常微分」を実行したことになる。
他にも、
\(v=2+3t\)
という関数があったとして、これを\(t\)で微分すると、
\(v'=3\)
となる。これも「常微分」である。
一方で、
\(z=x^3y^2+2x^2y^3\)
という関数があったとして、これを微分しなさい、ということになったとする。
ある人は、\(x\)が文字式で\(y\)を定数であると見なして、\(x\)で微分して
\(z'=3x^2y^2+4xy^3\)
とした。ところが別の人は、\(y\)の方が文字式で\(x\)を定数であると見なして、\(y\)で微分して
\(z'=2x^3y+6x^2y^2\)
とした。
どちらも微分は実行しているが、文字が\(2\)つあるので、微分しなさいと言われても\(2\)パターンある。
もしくは両方の文字をいっぺんに微分してしまう人もいるかもしれない。
これでは\(z'\)の表記が、何で微分しているか見ただけでは分からないことになってしまう。
■常微分と偏微分
仮に、元の関数
\(z=x^3y^2+2x^2y^3\)
の、\(x\)が変数で\(y\)は定数だったとする。これを\(x\)で微分する。
こういうとき、関数の「文字」は\(2\)文字であるが、実質のところの変数は\(1\)文字であるから、「ふつうの」微分として「常微分」と考える。
ダッシュを使わずに微分表記を書けば、
\(\displaystyle\frac{dz}{dx}=3x^2y^2+4xy^3\)
となる。
くり返しになるが、\(x\)が変数で\(y\)は定数だったとすれば、\(x\)で微分する操作は単に変数\(1\)文字での微分だから「常微分」である。
一方で、\(x\)も\(y\)も変数で、そのうちの\(x\)だけを微分したい場面に出会ったとする。
その場合を「偏微分」という。
このときは、微分の演算子にはブロック体の「\(d\)」に変えて、「\(\partial\)」と表記し、「偏微分」であることを明らかにしておく。
式は
\(\displaystyle\frac{\partial z}{\partial x}=3x^2y^2+4xy^3\)
となる。
仮に、\(y\)だけを微分すると、式は
\(\displaystyle\frac{\partial z}{\partial y}=2x^3y+6x^2y^2\)
となる。これが「偏微分」のザッとした説明である。用語は難しいかもしれないが、そんなに大したことをしているわけではない。